ひつじ書房 学びのエクササイズ子どもの発達とことば 伊藤崇著 ひつじ書房 学びのエクササイズ子どもの発達とことば 伊藤崇著
2018年5月刊行

学びのエクササイズ子どもの発達とことば

伊藤崇著

定価1600円+税 A5判並製カバー装 160頁

ISBN 978-4-89476-855-0

装丁 吉岡透・髙瀬康一(ae)

Learn and Exercise Series
Child Development and Language Socialization
Ito Takashi

ひつじ書房



家庭内の家族との会話。幼稚園でのお手紙ごっこ。小学校での授業。友達とのLINEによるやりとり。外国移住後の第二言語習得。消滅の危機に瀕した言語をあえて学ぶということ。本書は、0歳から18歳までの子どもが出会う可能性のある多様な社会的場面で起こるコミュニケーションの検討を通じて、言語発達過程にひとつの筋道を読み解く。言語とは、社会に参加するための道具であると同時に、私たち自身の社会を作るための道具でもある。




目次
はじめに

1章 ことばの発達を考える〜ことばの社会化とは何か
1 ことばの3つの機能
2 ことばの社会化論
3 何が「かわいい」のか?

2章  赤ちゃんに話しかける〜文化間の多様性、文化の中の多様性
1 レジスターとしての幼児語
2 文化によるコミュニケーションへの誘い方の違い
3 公園における親同士のコミュニケーション

3章 会話に巻き込む〜会話の秩序とその理解
1 会話へのいざない
2 会話の秩序:会話分析、隣接対、順番交替システム

4章 マネは創造のタネ〜うながし、参与枠組み、ルーティン
1 うながされてことばを知る
2 参与枠組みとルーティン

5章 感じ方を交渉する〜感情と道徳のことば
1 感情と道徳とことば
2 感情の交渉
3 実践としての道徳

6章 「公」と「私」の使い分け〜スタイルシフトと丁寧体
1 ことばで社会をあらわす〜スタイルと指標性
2 丁寧体の習得過程とその役割

7章 私はことばでできている〜語りへの子どもの関与
1 語り手になること
2 ともに語る子ども
3 語られる子ども

8章 小さな文化を創り出す〜ピアトークの意義とは
1 二重の機会を持つ場としてのピアトーク
2 「 いざこざ」をどう見るか?〜大きな文化と小さな文化のせめぎあい

9章  女の子が下品なことばを言うのはダメなのか〜ジェンダー実践と言語イデオロギー
1 ことばの社会化と言語イデオロギー
2 ジェンダーと仲間文化
3 言語イデオロギーを利用する

10章  実践としての書きことば〜リテラシー・イベントへの参加
1 書きことばへの誘い〜読み聞かせ
2 実践とリテラシー〜名前と手紙
3 話すリテラシー〜二次的ことばによるコミュニケーション

11章 二重の有能さを示す〜学習言語とIRE/F 連鎖
1 家庭から学校へ
2 ことばへの志向
3 評価への志向

12章  いくつもの目的を同時にめざす〜教室内のことばの多層性
1 子どもの視点に立ってみると
2 ことばのジャンル
3 学級集団内の立ち位置の調整

13章  2 つのことばの真ん中で〜バイリンガルとコードスイッチング
1 2 つの言語を同時に学ぶ
2 多言語併用環境でのCDC
3 子どものコードスイッチング

14章  ことばのあいだに立つ私〜継承語とアイデンティティ
1 ことばとアイデンティティ
2 継承語の発達とアイデンティティ
3 交渉され続けるアイデンティティ

索引







著者紹介
伊藤崇(いとう たかし)
北海道大学大学院教育学研究院准教授。博士(心理学)。専門は言語発達論、発達心理学。
論文:「幼児による家族内会話への傍参与の協同的達成」(2015年)『認知科学』22(1)
編著書:茂呂雄二・有元典文・青山征彦・伊藤崇・香川秀太・岡部大介(編)『ワードマップ 状況と活動の心理学:コンセプト・方法・実践』(2012年)新曜社


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