自由間接話法とは何か 平塚徹編 自由間接話法とは何か 文学と言語学のクロスロード 平塚徹編
2017年2月刊行

自由間接話法とは何か

文学と言語学のクロスロード

平塚徹編

A5判並製カバー装  定価3,200円+税

装丁者 井上智史

ISBN 978-4-89476-821-5

ひつじ書房

Free Indirect Discourse: Where Literature and Linguistics Meet
Hiratsuka Tohru


【内容】
自由間接話法は、文学においても、言語学においても、多大な関心を引いているテーマである。本書は、さまざまな分野の研究者がそれぞれの立場から自由間接話法について論じ、その諸相を立体的に捉えるものである。収録論文は、平塚徹「自由間接話法とは何か」、赤羽研三「小説における自由間接話法」、阿部宏「作中世界からの声―疑似発話行為と自由間接話法」、三瓶裕文「心的視点性と体験話法の機能について―ドイツ語の場合」。

執筆者:赤羽研三・阿部宏・三瓶裕文・平塚徹

【目次】

はじめに

「自由間接話法とは何か」 平塚徹
1 はじめに
2 自由間接話法は「自由間接話法」ではない
2.1 自由間接話法は間接話法の伝達節を省略したものではない
2.2 間接話法は言語によってさまざまである
2.3 間接話法を参照して自由間接話法を規定するべきではない
3 さまざまな話法と自由間接話法
3.1 さまざまな話法
3.2 自由間接話法
4 話法の連続性
4.1 伝達節
4.2 ドイツ語の伝達節を欠く間接話法と自由間接話法
4.3 間接話法の変異形
5 自由間接話法の幾つかの問題
5.1 まとめられた自由間接話法
5.2 二声仮説と語り手不在説
5.3 知覚の自由間接話法
5.4 自由間接話法とフランス語の単純過去
6 まとめ

「小説における自由間接話法」 赤羽研三
1 はじめに
2 話モードと語りモード
3 話法
3.1 話法という問題設定
3.2 自由間接文体という命名
3.3 直接話法と間接話法
3.4 なぜ自由間接文体なのか
3.5 SILの境界の曖昧さ
3.6 書き手と語り手
3.7 語り手の現われ
4 様々な自由間接文体
4.1 直接話法と間接話法の共存
4.2 口に出された言葉での自由間接文体
4.3 内話における自由間接文体
4.4 情動の発露
4.5 反省的意識と非反省的意識
4.6 意識と内面
4.7 夢想と知覚
4.8 SILと地の文との連続性
5 「語る」と「見る」
5.1 見ること
5.2 見ることと語ること
5.3 フィクションの発話行為
5.4 見ることとリアル
5.5 非人称的なカメラの眼
6 心の内と外の境界の曖昧化
7 新たなヴィジョン

「作中世界からの声―疑似発話行為と自由間接話法」 阿部宏
1 はじめに
2 バンヴェニストの時間論・時制論
3 時間ダイクシス
4 空間ダイクシス
5 自由間接話法と「二重の声」
6 日本語における作中世界からの声
7 その他の問題
8 まとめ

「心的視点性と体験話法の機能について」 三瓶裕文
1 はじめに
1.1 目的、対象、先行研究
1.2 理論的基盤:心的視点、認知的原理「近ければ近いほど直接的知覚」
2 直接話法、間接話法
2.1 直接話法:〈導入部(語り手の視点)+再現部(作中人物の視点)〉
2.2 間接話法:〈語り手の視点性優勢:距離感、中立性〉
2.3 地の文
3 体験話法:優勢な作中人物の視点性+若干の語り手の視点性
3.1 作中人物の内心(思考・知覚)の共体験的・目立たぬ再現
3.2 読者に及ぼす影響:読者に作中人物の内心を共体験させる
3.3 体験話法の翻訳
4 まとめ

あとがき
索引
執筆者紹介

【編者紹介】
平塚徹(ひらつか とおる)
1965年生まれ。1994年エクス・アン・プロヴァンス第1大学DEA(フランス語学)。同年京都大学大学院文学研究科博士課程言語学専攻中途退学。京都産業大学外国語学部教授。「フランス語のprendreタイプの動詞がとる場所補語について:非線状的事態認知モデル」『言葉と認知のメカニズム:山梨正明教授還暦記念論文集』(ひつじ書房、2008年)、「差異の概念化と言語表現:イギリス英語にdifferent toという言い方があるのはなぜか」『京都産業大学論集:人文科学系列』第48号(京都産業大学、2015年)、「主語名詞句からの前置詞句外置構文:用法基盤モデルによる分析」『フランス語学の最前線4【特集】談話、テクスト、会話』(ひつじ書房、2016年)。


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