相互行為における指示表現 須賀あゆみ著 ひつじ書房 相互行為における指示表現 須賀あゆみ著 ひつじ書房
2018年1月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第143巻

相互行為における指示表現

須賀あゆみ著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入り 268頁 定価6400円+税

ISBN 978-4-89476-820-8

ひつじ書房


Referring Expressions in Interaction
Ayumi Suga


【内容】
「ハリケーン」「ものすごい大嵐」「台風みたいなの」「カトリーナ」。同じものを指すときに用いる表現にはいくつかの選択肢があり、性質を説明したり、固有名詞を用いたり、様々な方法がある。本書では会話分析の手法を用いて、日本語の日常会話のなかで、指示表現の選択が、質問・依頼・語りなどの活動を成し遂げるために、その場その場で聞き手の知識を考慮しつつ、指示対象の適切な認識を促すようになされることを明らかにする。



【目次】
まえがき
トランスクリプトに用いる記号一覧

第1章 会話活動における指示
1.1. はじめに
1.2. 指示とは
1.3. 研究の背景
1.4. まとめ

第2章 会話分析の手法による指示研究
2.1. はじめに
2.2. 聞き手に合わせたデザイン
2.3. 指示上の問題に対処する手続き
2.4. 連鎖上の位置と指示表現形式
2.5. 日常会話のデータ
2.6. 注目するプラクティス

第3章 指示対象の認識を確認するプラクティス
3.1. はじめに
3.2. 認識要求
3.3. 唯一的に同定可能なものの指示
3.4. 二段階の認識確認
3.5. 指示対象の認識の追求と名前の選好
3.6. 主活動の達成のために
3.7. まとめ

第4章 カテゴリーの知識を調べるプラクティス
4.1. はじめに
4.2. カテゴリーの知識を調べる活動
4.3. タームの選好
4.4. カテゴリーの理解の追求と主活動の達成
4.5. 二段階のカテゴリー指示
4.6. タームの選好と聞き手に合わせたデザインの選好
4.7. まとめ

第5章 言葉探しを伴う指示のプラクティス
5.1. はじめに
5.2. 名前の探索
5.3. 言葉探しと認識の証拠提示
5.4. 言葉探しを伴う指示活動
5.5. 主活動の達成のために
5.6. カテゴリー・タームの探索
5.7. まとめ

第6章 聞き手が知らない対象の存在を知らせるプラクティス
6.1. はじめに
6.2. 聞き手が知らない対象の存在を知らせる
6.3. カテゴリーの一員を紹介する
6.4. 会話活動の達成のために
6.5. 聞き手の知識に合わせたデザイン
6.6. 聞き手の知識に関する想定と指示詞の選択
6.7. まとめ

第7章 物語りにおける指示表現
7.1. はじめに
7.2. 物語を語るという活動
7.3. 物語りにおける指示活動
7.4. 登場人物を指示する表現
7.5. 聞き手が知らない人物の名前を披露する
7.6. 聞き手が知らない対象の名前指示引用
7.7. 呼称による指示
7.8. まとめ

第8章 直示表現の再使用
8.1. はじめに
8.2. 直示表現を「再使用」する
8.3. 有標な指示表現
8.4. 事例
8.5. 先行話者の指示
8.6. 後続話者の「再使用」
8.7. 直示表現の「再使用」の会話活動への貢献
8.8. まとめ

第9章 結論
9.1. 本研究のまとめ
9.2. 本研究の論点
9.3. 本研究が示唆することと今後の課題

参考文献
索引


【著者紹介】

須賀あゆみ(すが あゆみ)
奈良女子大学文学部英語英米文学科卒業。筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程比較文化学専攻単位取得。現在、奈良女子大学研究院人文科学系准教授。
〈主な著書・論文〉「コヒージョンとコヒアランス」安井泉(編)『グラマー・テクスト・レトリック』くろしお出版(1992年)、「指示表現の属性を導く機能について」『英語語法文法研究』第9号(2002年)、「指示交渉と『あれ』の相互行為上の機能」溝越彰他(編)『英語と文法と』開拓社(2007年)。



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