日英語の文法化と構文化 秋元実治・青木博史・前田満 編 日英語の文法化と構文化 秋元実治・青木博史・前田満 編
2015年11月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第132巻

日英語の文法化と構文化

秋元実治・青木博史・前田満 編

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入  定価7,200円+税

ISBN 978-4-89476-773-7

ひつじ書房

【内容】

本書は、「構文化」および「文法化」、さらにそれらの間の関係について、理論・記述の両面から新しい知見を示したものである。日本語と英語を対象とし、共時的・通時的双方の視点からアプローチを行うことにより、その本質に迫ることを目的としている。日本語学と英語学のコラボレーションによって研究の新たな地平を拓く、斬新な試みである。

執筆者:秋元実治、高見健一、早瀬尚子、前田満、柴﨑礼士郎、秋元美晴、志賀里美、三宅知宏、青木博史、吉田永弘



【目次】

第1章 文法化から構文化へ  秋元実治
1. はじめに
2. 文法化(Grammaticalization)
 2.1 Meillet(1965[1912])
 2.2 Lehmann(1995[1982])
 2.3 Hopper(1991)及びHopper and Traugott(2003)
3. 構文化(Constructionalization)
 3.1 Traugott and Trousdale(2013)
 3.2 文法化と文法的構文化
 3.3 語彙化と語彙的構文化
4. イディオム化(Idiomatization)
5. 漸進性(gradualness)とグレーディエンス(gradience)
6. コンテキスト(Context)
7. 事例研究 One’s way 構文
8. まとめ

第2章 Time-away 構文の適格性条件  高見健一
1. はじめに
2. Jackendoff(1997)の分析とその問題点
3. Time-away 構文の意味的・機能的分析
 3.1 Time-away 構文が表す意味
 3.2 もう1 つのTime-away 構文
 3.3 Time-away 構文で用いられる動詞
4. Away 構文とはどこが違うか?
5. まとめ

第3章 supposing 節の構文化現象  早瀬尚子
1. はじめに
2. 懸垂分詞構文からsupposing 節構文へ
3. supposing 節構文の意味機能とその発展
 3.1 〈質問(QUESTION)〉としてのsupposing 節構文
 3.2 〈感情表出(EXPRESSIVES)〉としてのsupposing 節構文
 3.3 〈提案(SUGGESTION)〉としてのsupposing 節構文
 3.4 〈乖離(DISSOCIATION)〉としてのsupposing 節構文
 3.5 まとめ
4. 考察
 4.1 supposing 節構文の特異性
 4.2 類型論的な観点から
 4.3 (間)主観性とsupposing 節構文
5. まとめ

第4章 構文化としての脱従属化 if only 祈願文の事例を通じて  前田満
1. はじめに
2. 構文としてのif only 祈願文
 2.1 独立節としての使用
 2.2 仮定法過去の使用
 2.3 Only の生起
 2.4 発語内の力
 2.5 構文としてのif only 祈願文
3. 構文化としての脱従属化
 3.1 脱従属化のパラドックス
 3.2 構文化のメカニズム
 3.3 ゲシュタルト化
 3.4 NEG 脱落とゲシュタルト化
4. If only 祈願文の構文化
 4.1 If only 祈願文の出現と一般化
 4.2 脱従属化の関与を示す証拠
 4.3 If only 祈願文の構文化
 4.4 ‘if + onlyOP’ の文法化
5. まとめ

第5章 現代アメリカ英語の二重コピュラ構文 再分析、構文拡張、談話構造の観点から  柴﨑礼士郎
1. はじめに
2. 研究の背景
3. アメリカ英語における二重コピュラ構文の実態
4. 事例研究 the fact is is(that)
 4.1 現代アメリカ英語における構文分布状況
 4.2 構文と修飾要素
 4.3 語用論標識と談話構造
 4.4 構文再分析とその制約
5. まとめ

第6章 「 〜ない程度に」と「〜ない範囲で」に関わる構文研究  秋元美晴
1. はじめに
2. 先行研究
3. 構文と構文的イディオム
4. 語用論的考察
5. データ
6. 「〜ない程度」と「〜ない範囲」の文法的バリエーション
 6.1 「〜ない程度」
 6.2 「〜ない範囲」
7. 「〜ない程度に」と「〜ない範囲で」のコロケーション
 7.1 「〜ない程度に」
 7.2 「〜ない範囲で」
8. 「〜 ない程度に」と「〜ない範囲で」の談話的語用論の立場からの考察
 8.1 「〜ない程度に」
 8.2 「〜ない範囲で」
9. まとめ

第7章 複合動詞における文法化の一考察 「〜切る」「〜過ぎる」「〜出す」を例に  志賀里美
1. はじめに
2. 文法化と連続性について
 2.1 文法化
 2.2 漂白化・保持化・重層化
 2.3 複合動詞における文法化
 2.4 本稿における複合動詞の文法化
3. 複合動詞における文法化 意味的側面
 3.1 「〜切る」
  3.1.1 「切る」と「V +切る」の意味
  3.1.2 「V +切る」に見られる漂白化・保持化・重層化
 3.2 「〜過ぎる」
  3.2.1 「過ぎる」と「V +過ぎる」
  3.2.2 「V +過ぎる」に見られる漂白化・保持化・重層化
 3.3 「〜出す」
  3.3.1 「出す」と「V +出す」
  3.3.2 「V +出す」に見られる漂白化・保持化・重層化
4. 複合動詞における文法化 統語的側面
 4.1 「V +切る」
 4.2 「V +過ぎる」
 4.3 「V +出す」
 4.4 まとめ
5. 文法化と使用頻度の関係性
 5.1 「V +切る」
 5.2 「V +過ぎる」
 5.3 「V +出す」
 5.4 まとめ
6. おわりに

第8章 日本語の「補助動詞」と「文法化」・「構文」  三宅知宏
1. はじめに
2. 「補助動詞」について
3. 「補助動詞」と「文法化」
 3.1 補助動詞の音韻的、形態・統語的特徴
 3.2 補助動詞の意味の抽象化
4. 「補助動詞」と「構文」
 4.1 「構文的意味」の形態的有標性に関する仮説
 4.2 「受益構文」をめぐって 「構文スキーマ」と文脈情報
 4.3 「結果構文」をめぐって 補助動詞の形態・統語的性質と構文
5. おわりに

第9章 終止形・連体形の合流について  青木博史
1. はじめに
2. 先行研究
3. 準体句の文末用法の衰退
 3.1 喚体文(擬喚述法)
 3.2 「連体なり」文
4. 名詞句の脱範疇化
 4.1 接続部の場合
 4.2 述部の場合
5. 述体文としての係り結び文
6. 終止形終止の衰退
7. おわりに

第10章 「とも」から「ても」へ  吉田永弘
1. はじめに
2. 中古の「ても」
3. 副詞「たとひ」の構文
4. 不定語との照応
5. 反実仮想文中での使用
6. 「ても」の一語化
 6.1 一語化以前
 6.2 条件表現体系の変化 「とも」「ども」の衰退
 6.3 「ても」の変化
7. おわりに


索引


【編者紹介】
編者:秋元実治(あきもとみのじ)青山学院大学名誉教授、青木博史(あおきひろふみ)九州大学准教授、前田満(まえだみつる)愛知学院大学准教授



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