コーパスと日本語史研究 近藤泰弘・田中牧郎・小木曽智信 編 コーパスと日本語史研究 近藤泰弘・田中牧郎・小木曽智信 編
2015年10月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第127巻

コーパスと日本語史研究

近藤泰弘・田中牧郎・小木曽智信 編

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製  定価6,800円+税

ISBN 978-4-89476-751-5

ひつじ書房

Text Corpora and Japanese Historical Linguistics

Edited by Yasuhiro Kondo, Makiro Tanaka and Toshinobu Ogiso

【内容】

日本語史研究にどのようにしてコーパスを用いるかについての日本最初の概説書。具体的な研究方法も満載。また、オクスフォード大学の古典語コーパスについても開発者自らが詳しく解説。その他、古典語コーパス関係の文献解題も付載。なお、国立国語研究所の「日本語歴史コーパス」の開発に関わった研究者による共同研究の成果でもある。

執筆者:近藤泰弘・田中牧郎・小木曽智信・山元啓史・山田昌裕・高山善行・岡﨑友子・横野光・ビャーケ=フレレスビッグ・スティーブン=ホーン・ケリー=ラッセル・冨士池優美・鴻野知暁・間淵洋子



【目次】

まえがき

『日本語歴史コーパス』と日本語史研究 近藤泰弘
1. 『日本語歴史コーパス』について
 1.1 概要
 1.2 自動形態素解析
 1.3 マークアップ技術
 1.4 底本の選択
2. 「中納言」について
 2.1 概要
 2.2 短単位
 2.3 長単位
 2.4 検索履歴・検索条件式で検索
3. 「中納言」とエクセル  3.1 概要
 3.2 ピボットテーブルへの入力
4. プログラミング言語を併用する
 4.1 前処理としてのプログラミング
 4.2 PythonのライブラリとR言語
5. オックスフォードコーパスとの関係
 5.1 概要
 5.2 差異と共通点
6. 応用の方法
 6.1 クロス集計
 6.2 N-gram(NGSM)について
7. まとめ

通時コーパスによる言語の研究 山元啓史
1. はじめに
2. 複雑系の科学
 2.1 言語の記述
 2.2 共時と通時
3. 差分の方法
 3.1 動的変化をとらえる
 3.2 系列比較モデル
 3.3 語の対応を写像でとらえる
4. 共出現パターンによる差分の方法
 4.1 グラフ理論による言語の分析
 4.2 シソーラスの役割
 4.3 シソーラスによる語の照合
5. 今後の研究領域
6. おわりに
付録

平安期の〈名詞句+係助詞〉の格
その実態から見た係助詞の性質と副助詞との関連性 山田昌裕
1. はじめに
2. 〈名詞句+係助詞〉の実態
 2.1 名詞句の格
 2.2 ヲ格名詞句における係助詞の承接
3. 実態から見た係助詞の分析
 3.1 ヲ格名詞句との承接から見た係助詞
  3.1.1 「コソ」「ゾ」「ナム」「カ」
  3.1.2 「ヤ」
4. 係助詞と副助詞との関連性
5. まとめ

受諾場面における形容詞使用の実態
中古語「よし」「やすし」の場合 高山善行
1. はじめに
2. 問題のありか
 2.1 本稿の目的
 2.2 形容詞の運用面
 2.3 歴史的研究
3. 方法
4. 観察・分析
 4.1 「よし」
  4.1.1 「よきことなり」
  4.1.2 「よかなり」
  4.1.3 非受諾の例
 4.2 「やすし」
 4.3 本節のまとめ
5. 方言研究の視点から
6. 展望・課題

中古和文における接続表現について 岡﨑友子
1. はじめに
2. 先行研究
3. 調査、分析方法について
4. 調査、分析結果
 4.1 【A】『日本語歴史コーパス』において接続詞とされるもの
  4.1.1 「マタ」について
  4.1.2 サテ
 4.2 【B】和文に見られる訓読系の接続表現
 4.3 【C】指示詞系接続表現「カカリ・サリ」系
  4.3.1 「カカリ」系
  4.3.2 「サリ」系
5. まとめ

中古和文における文体別の特徴語  小木曽智信
1. はじめに
2. 調査の方法
 2.1 対象としたコーパス
 2.2 特徴語の抽出
3. 文体別の特徴語(短単位)
 3.1 文体別特徴語の品詞
 3.2 地の文の特徴語
 3.3 会話文の特徴語
 3.4 和歌の特徴語
4. 反特徴語(短単位)
5. 長単位の特徴語
6. 文体別特徴語の分析
 6.1 助詞
 6.2 助動詞
 6.3 動詞・形容詞
 6.4 名詞・代名詞
7. おわりに

『今昔物語集』に見る文体による語の対立
本朝仏法部と本朝世俗部の語彙比較 田中牧郎
1. 目的
2. 方法
 2.1 『今昔』の文体
 2.2 『今昔』のコーパス作成
 2.3 語彙の比較
3. 説話内容の違いに基づく特徴語
 3.1 説話内容の違いに基づく仏法部特徴語
 3.2 説話内容の違いに基づく世俗部特徴語
4. 文体の違いに基づく特徴語
 4.1 文体の違いに基づく仏法部特徴語
 4.2 文体の違いに基づく世俗部特徴語
5. 文体による語の対立
 5.1 文体的対立関係にある語
 5.2 文体的対立の段階差
 5.3 文体的対立と語種・品詞
 5.4 本稿の「文体的対立」と築島の「二形対立」
6. おわりに
別表1 文体の違いに基づく仏法部特徴語
別表2 文体の違いに基づく世俗部特徴語

人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」 国語試験古文問題解答に向けて 横野光
1. はじめに
2. センター試験古文問題の分類と解答手法
 2.1 文法問題
  2.1.1 表現の構成要素に関する問題
  2.1.2 敬意表現に関する問題
 2.2 和歌問題
 2.3 内容問題
 2.4 その他(文学史)
3. 古文を対象とした言語資源、言語処理ツール
4. 機械翻訳を用いた内容理解問題解答
5. おわりに

Why Romanize a Corpus of (Old) Japanese? Bjarke Frellesvig
1. Transcription
 1.1 Phonemic transcription
2. Phonological representation
3. Morphological segmentation
4. Sound texture appreciation
5. Conclusion

The Oxford Corpus of Old Japanese Stephen Wright Horn and Kerri L. Russell
1. Introduction
2. Linguistic annotation of texts
 2.1 The texts in the OCOJ
 2.2 Encoding orthography  2.3 Lemmatization
 2.4 Syntactic markup
 2.5 An example of a fully marked up poem
 2.6 Displaying the data
3. Non-linguistic annotation of texts
 3.1 Literary and historical annotation
 3.2 Orthographic alignment
 3.3 Translations
4. The OCOJ Lexicon
 4.1 Structure of entries
 4.2 Data storage
5. Searching the OCOJ
 5.1 Key Word In Context (KWIC) searches
 5.2 Advanced searches
6. Conclusion

コーパス日本語史研究目録 間淵洋子・鴻野知暁
1. コーパス日本語史研究概観
 1.1 コーパスとは
 1.2 コーパスの種類と研究の流れ
  1.2.1 『日本古典文学本文データベース』 (現「大系本文データベース」)
  1.2.2 新潮文庫CD-ROMと青空文庫
  1.2.3 『太陽コーパス』と近代雑誌のコーパス
  1.2.4 『日本語歴史コーパス(開発中)』
 1.3 文献目録掲載論文の抽出方法
2. 研究の分野分類
3. 総論・構築に関する論文
 3.1 研究方法論
 3.2 設計
  3.2.1 古典語のコーパス
  3.2.2 近代語のコーパス
3.3 コーパスデータ構築
  3.3.1 古典語のコーパス
  3.3.2 近代語のコーパス
4. 言語処理に関する論文
 4.1 解析辞書・解析システム
 4.2 アノテーション
 4.3 検索システム等に関する論文
5. 日本語学に関する論文
 5.1 音声・音韻の研究
 5.2 文字・表記の論文
 5.3 語彙・意味の論文
  5.3.1 古典語のコーパス
  5.3.2 近代語のコーパス
 5.4 文法の論文
  5.4.1 古典語のコーパス
  5.4.2 近代語のコーパス
 5.5 文章・文体の論文
  5.5.1 古典語のコーパス
  5.5.2 近代語のコーパス
6. 書籍
7. 終わりに

『日本語歴史コーパス 平安時代編』の形態論情報 冨士池優美
1. はじめに
2. 『日本語歴史コーパス 平安時代編』の言語単位
3. 形態論情報の概要
 3.1 長単位
  3.1.1 文節認定規程
  3.1.2 長単位認定規程
 3.2 短単位
  3.2.1 最小単位認定規程
  3.2.2 短単位認定規程
 3.3 付加情報の概要
4. BCCWJからの変更点
5. おわりに
付録1 要注意語(接頭的要素・接尾的要素)
付録2 連語
付録3 読み統一の方針

あとがき
索引
執筆者一覧



【編者紹介】
近藤泰弘(青山学院大学文学部教授)・田中牧郎(明治大学国際日本学部教授)・小木曽智信(国立国語研究所言語資源研究系准教授)


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