日本語並列表現の体系 中俣尚己著 日本語並列表現の体系
中俣尚己著
2015年2月

シリーズ言語学と言語教育 33

日本語並列表現の体系

中俣尚己著

A5判上製 定価7,200円+税

ISBN 978-4-89476-736-2

装丁者 吉岡透(ae)/明田結希(okaka design)

ひつじ書房

System of Parallel Coordinations in Japanese Language
Naoki Nakamata



日本語の多様な並列表現を包括的・体系的に記述した初めての研究書。扱う形式は「と」「や」「とか」といった並列助詞、「て」「し」「たり」といった接続助詞、そして「また」「しかも」「そのうえ」といった接続詞と3つのカテゴリーにまたがる33形式。それらを統語的な「網羅性」と意味的な「集合の形成動機」の二軸によって体系的に記述する。心理実験やコーパス調査などの手法も取り込み、意味の違いを客観的に分析する。




目次

はじめに
1. 本研究の目的
2. 本研究の主張
2. 本書の構成


第1部 本研究の理論的前提

第1章 本研究の方法論
1. 本研究で扱う形式
2. 並列の定義
2.1. 宣言的定義
2.2. モノの並列の操作的定義
2.3. コトの並列の操作的定義
3. 先行研究の問題点
3.1. 先行研究の全体的な問題点
3.2. 先行研究でよく使われる概念の問題点
4. 本研究で用いる概念
4.1. 統語レベル・意味レベル・語用レベル
4.2. 統語レベルで用いる概念
4.3. 意味レベルで用いる概念
4.4. 語用レベルで用いる概念
4.5. 本書で用いる概念のまとめと並列表現の体系
5. 具体的な方法論
6. 本研究の方法論のまとめ


第2部 並列助詞の体系的記述

第2章 「と」
1. 「と」の統語レベルの議論
1.1. 「+網羅性」
1.2. 名詞句内非網羅性制約
1.3. 連結数量詞における「合計読み」と「分配読み」
2. 「と」の意味レベルの議論
2.1. 「と」の意味的な使用条件
2.2. 名詞句内非網羅性制約が課す「と」の意味的制約
3. 「と」の語用レベルの議論
4. 「と」のまとめ

第3章 「や」
1. 「や」の統語レベルの議論
1.1. 「-網羅性」
1.2. 主題部網羅性制約
2. 「や」の意味レベルの議論
2.1. 「や」の使用条件 
2.2. 調査1 「や」の許容度判定と同集合判定
2.3. 調査2 並列助詞の産出
2.4. 「や」の本質
3. 「や」の語用レベルの議論
4. 「や」のまとめ

第4章 「も」
1. 「も」の統語レベルの議論
2. 「も」の意味レベルの議論
2.1. 「も」の使用条件
2.2. 「も」が使いにくい場合と必須となる場合
3. 「も」の語用レベルの議論
4. 「も」のまとめ

第5章 「、」
1. 「、」の統語レベルの議論
2. 「、」の意味レベルの議論
3. 「、」の語用レベルの議論
4. 「、」のまとめ

第6章 「か」
1. 「か」の統語レベルの議論
2. 「か」の意味レベルの議論
3. 「か」の語用レベルの議論
4. 「か」と「、」
5. 「か」のまとめ

第7章 その他の並列助詞
1. 「とか」
1.1. 「とか」の諸特性
1.2. 「とか」と「や」の違い
2. 「やら」
2.1. 「やら」の機能
2.2. 「やら」と「や」の違い
3. 「だの」
3.1. 「だの」の機能
3.2. 並列表現と低評価
4. 「だか」
5. 「なり」
6. 「に」
7. その他の並列助詞のまとめ

第8章 並列助詞の体系
1. 並列助詞の特性の集約
2. 並列助詞の特性の傾斜
3. 並列助詞の体系
4. 並列助詞の体系のまとめ


第3部 並列を表す接続助詞の体系的記述

第9章  コーパスからみる並列を表す接続助詞の全体的な傾向
1. 調査の方法
1.1. 使用したコーパス
1.2. 収集した形式
2. コーパスにおける出現数
3. 付与したタグ
4. タグ付与の結果
5. 「コーパスからみる全体的な傾向」のまとめ

第10章 「ば」
1. 「ば」の統語レベルの議論
1.1. 「も-も」型の「ば」並列と非「も-も」型の「ば」並列
1.2. 「ば」の網羅性
1.3. 事態の提示方法
2. 「ば」の意味レベルの議論
3. 「ば」の語用レベルの議論
4. 「ば」のまとめ

第11章 「し」
1. 「し」の統語レベルの議論
1.1. 「し」の網羅性
1.2. 「し」の事態の提示方法
1.3. 「し」と主題
1.4. 「し」の連体修飾節内における使用制限
2. 「し」の意味レベルの議論
3. 「し」の語用レベルの議論
4. 「し」のまとめ

第12章 「て」
1. 「て」の統語レベルの議論
1.1. 「て」の網羅性
1.2. 「て」の事態の提示方法
2. 「て」の意味レベルの議論
3. 「て」の語用レベルの議論
4. 「て」のまとめ

第13章 「連用形」
1. 「連用形」の統語レベルの議論
1.1. 「連用形」の網羅性
1.2. 「連用形」の事態の提示方法
2. 「連用形」の意味レベルの議論
3. 「連用形」の語用レベルの議論
4. 「連用形」のまとめ

第14章 「たり」
1. 「たり」の統語レベルの議論
1.1. 網羅性
1.2. 名詞句内非網羅性制約からの帰結
1.3. 事態の提示方法
2. 「たり」の意味レベルの議論
2.1. 出現可能性を元にした並列
2.2. 終助詞用法としての「たり」
3. 「たり」の語用レベルの議論
5. 「たり」のまとめ

第15章 その他の並列を表す接続助詞
1. 「-網羅性」と名詞句内非網羅性制約
2.「とか」
2.1. 先行研究とコーパスに出現した例
2.2. 統語レベルの議論
2.3. 意味レベルの議論
2.4. 語用レベルの議論
3. 「やら」
4. 「だの」
5. 「か」
6. 「だか」
7. 「なり」
8. 「わ」
9. 「その他の並列を表す接続助詞」のまとめ

第16章 並列を表す接続助詞の体系
1. 並列を表す接続助詞の特性の集約
2. 傾斜
3. 並列を表す接続助詞の体系
5. 結論


第4部 並列を表す接続詞の体系的記述

第17章  コーパスからみる並列を表す接続詞の全体的な傾向
1. 調査の方法
1.1. 使用したコーパス
1.2. 収集した形式
2. コーパスにおける出現数
3. 付与したタグ
4. タグ付与の結果
5. 「コーパスからみる全体の傾向」のまとめ

第18章 「それから」
1. 「それから」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「それから」
1.2. 段落レベルの並列に使われる「それから」
1.3. 名詞句レベルの並列に使われる「それから」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「それから」のまとめ

第19章 「そして」
1. 「そして」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「そして」
1.2. 名詞句レベルの並列に使われる「そして」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「そして」のまとめ

第20章 「また」
1. 「また」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「また」
1.2. 名詞句レベルの並列に使われる「また」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「また」のまとめ

第21章 「さらに」
1. 「さらに」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「さらに」
1.2. 名詞句レベルの並列に使われる「さらに」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「さらに」のまとめ

第22章 「しかも」
1. 「しかも」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「しかも」
1.2. 事態の捉え直しと情報量
1.3. 名詞句レベルの並列に使われる「しかも」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「しかも」のまとめ

第23章 「それに」
1. 「それに」の特性
1.1. 節・文レベルの並列に使われる「それに」
1.2. 付加用法の「それに2」
1.3. 名詞句レベルの並列に使われる「それに」
2. 文のタイプと談話機能
3. 「それに」のまとめ

第24章 「そのうえ」
1. 「そのうえ」の特性
2. 文のタイプと談話機能
3. 「そのうえ」のまとめ

第25章 「φ」
1. 「φ」の特性
2. 文のタイプと談話機能
3. 「φ」のまとめ

第26章 その他の並列を表す接続詞
1. 「一方」
1.1. コーパス調査の結果
1.2. 「一方」の統語的な諸特性
1.3. 「一方」の集合形成動機
2. 「次に」
3. 「なお」
4. 「その他の並列を表す接続詞」のまとめ

第27章 選択型の接続詞
1. 選択型の接続詞の統語的特性
2. 「または」
2.1. コーパス調査の結果
2.2. 節・文レベルの並列に使われる「または」
2.3. 名詞句レベルの並列に使われる「または」
3. 「あるいは」
3.1. コーパス調査の結果
3.2. 節・文レベルの並列に使われる「あるいは」
3.3. 名詞句レベルの並列に使われる「あるいは」
3.4. 「または」と「あるいは」の違い
4. 「もしくは」
4.1. コーパス調査の結果
4.2. 節・文レベルの並列に使われる「もしくは」
4.3. 名詞句レベルの並列に使われる「もしくは」
5. 「ないし」
6. 「それとも」
7. 「選択型の接続詞」のまとめ

第28章 並列を表す接続詞の体系
1. 並列を表す接続助詞の特性の集約
2. 傾斜
3. 並列を表す接続詞の体系のまとめ
4. 結論


第5部 本研究の理論的総括

第29章 日本語並列表現の体系
1. 品詞別にみる各形式の特性のまとめ
1.1. 並列助詞のまとめ
1.2. 接続助詞のまとめ
1.3. 接続詞のまとめ
2. 日本語並列節の体系
2.1. 集合の形成動機による分類
2.2. 網羅性による分類
2.3. 事態の提示方法による分類
2.4. 排他的推意の有無による分類
2.5. 体系化
3. 今後の課題


参考文献
あとがき
索引
                                                                                                                                                                                                                                                                                   

著者紹介
中俣尚己(なかまた なおき)
京都教育大学教育学部講師。主な著作・論文に『日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』(くろしお出版、2014年)、「初級文法項目の生産性の可視化―動詞に接続する文法項目の場合―」(『計量国語学』29-8、 2015年)など。



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