日本語の品詞体系とその周辺 村木新次郎 著 日本語の品詞体系とその周辺 村木新次郎 著
2012年11月

ひつじ研究叢書(言語編)第101巻

日本語の品詞体系とその周辺

村木新次郎 著

装丁者 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入り 定価5,600円+税

ISBN 978-4-89476-602-0

ひつじ書房



伝統的な学校文法や標準化しつつある日本語教育文法を是としない立場から、日本語のあるべき単語認定と品詞体系について提言した書。従来の文法が形式中心で、syntagmaticな側面に傾斜していたことを指摘し、意味・機能を重視し、paradigmaticな側面をとりこむ必要性を説く。形容詞をひろくとらえること、日本語の品詞として、後置詞、従属接続詞をみとめるべきであることなどを主張する。日本語の感動詞や節の類型にも言いおよぶ。


【目次】
まえがき

第1部 日本語の品詞体系をめぐる諸問題
第1章 日本語文法研究の主流と傍流―単語と品詞の問題を中心に―

第2章 日本語の品詞体系のみなおし―形式重視の文法から意味・機能重視の文法へ―
要旨
1. 学校文法の問題点
2. 学校文法の克服
3. 日本語の品詞体系
4. 形容詞の範囲の拡大
5. 後置詞
6. 従属接続詞
まとめ

第3章 文の部分と品詞
1. 文の部分と品詞
2. 文の部分(述語文の場合)
3. 品詞
4.まとめ

第4章 意味と品詞分類
1. 単語とはなにか
2. 品詞の概念
3. 意味と品詞との関係

第5章 漢語の品詞性を問う
要旨

第6章 四字熟語の品詞性を問う
1. 四字熟語の品詞性
2. 四字熟語は単語か、句か
3. 四字熟語の品詞分類
4. 形容詞の範囲

第7章 日本語の名詞のみなおし―名詞のようで名詞でないもの―
要旨
1. 問題の所在
2. 名詞とは何か
3. 名詞らしからぬ単語
4. まとめ

第2部 形容詞をめぐる諸問題
第1章 日本語の形容詞―その機能と範囲―
1. 形容詞とはなにか
2. 形容詞の機能
3. 形容詞の形式
4. 形容詞の意味
5. まとめ

第2章 名詞と形容詞の境界
1. 品詞の概念
2. 機能からみた名詞と形容詞
3. 第三形容詞
4. 意味からみた名詞と形容詞

第3章 「 がらあき―」「ひとかど―」は、名詞か、形容詞か
要旨

第4章 第三形容詞とその語構成
0. はじめに
1. 品詞分類の基準
2. 品詞間の連続性
3. 日本語の形容詞は少ないか
4. 単語認定の問題
5. 第三形容詞の位置
6. 第三形容詞の語構成
7. 第三形容詞をめぐる諸問題
8. 四字熟語と第三形容詞
9. むすび

第5章 第三形容詞とその意味分類
1. 第三形容詞とはなにか
2. 第三形容詞の用法
3. 意味と品詞の関係
4. 辞書やシソーラスでのあつかい
5. 第三形容詞の意味論上の分類

第6章  形容詞における単語内部の並列構造と属性化
0. はじめに
1. 実体から属性へ―名詞から形容詞へ―
2. 運動から属性へ―動詞から形容詞へ―
3. まとめ―重複と列挙による派生形容詞―

第7章 「 神戸な人」という言い方とその周辺
1. 「神戸な人」という言い方
2. 「味な企画」という言い方
3. 「大人なイメージ」という言い方
4. 「現実な対応」という言い方
5. 「メルヘンな雰囲気」という言い方
6. 「普通な 感じ/気分」という言い方
7. 「花の都」という言い方
8. 「がけっぷちの経済」という言い方
9. 「底抜けな/底抜けの 明るさ」という言い方

第3部 従属接続詞をめぐる諸問題
第1章 日本語の節の類型
1. 従属節の位置づけ
2. 従属節のタイプに関する先行研究
3. 従属節の分類の提案
4. 連体節の下位分類
5. まとめ

第2章 「矢先」と「手前」―「もの・空間」から「つなぎ」へ―
要旨
1. 文法的な品詞―後置詞と従属接続詞―
2. 「矢先」について
3. 「手前」について

第3章 擬似連体節をうける従属接続詞―「かたわら」と「一方(で)」の用法を中心に―
要旨
1. はじめに
2. 従属節へのアプローチ
3. 節の諸タイプ
4. 擬似連体節
5. 従属接続詞としての「かたわら」と「一方(で)」

第4章 〈とき〉をあらわす従属接続詞―「途端(に)」「拍子に」「やさき(に)」などを例として―
1. 問題の所在
2. 諸形式の文法的機能―品詞性―
3. 諸形式の従属接続詞としての用法
4. まとめ

第4部 感動詞の問題
第1章  意味・機能にもとづく日本語の感動詞の分類
0. はじめに
1. 感動詞の位置
2. 感動詞の意味的な分類
3. 意味・機能にもとづく感動詞の分類
 Ⅰ 聞き手の存在を前提としていない感動詞
 Ⅱ 聞き手の存在を前提とする感動詞

第5部 単語とコロケーションをめぐる諸問題
第1章 日独両言語の単語をめぐって
1. 単語とはなにか
2. 単語の本質的な特徴
3. 単語の多様性

第2章  中国語の形容詞が日本語の動詞と対応する中日同形語に ついて
1. 問題の所在
2. 両言語における形容詞と動詞の位置
3. 日本語における漢語の文法性
4. 先行研究
5. 調査とその結果

第3章 現代日本語の中の四字熟語
要旨
0. はじめに
1. 四字熟語の範囲
2. 四字熟語の使用
3. 四字熟語の品詞性
4. 四字熟語と文体
5. その他の特徴

第4章 コロケーションとは何か
1. コロケーションとは何か
2. コロケーションの再定義
3. コロケーションの範囲
4. コロケーションの諸タイプ
5. 辞書におけるコロケーションの記述

第6部 日本語文法の展望
第1章 三上章と奥田靖雄―それぞれの軌跡―
1. ふたりの生きざま―アカデミズムとの関係―
2. 文法をどうとらえるか
3. むすび

第2章 日本語文法研究の展望
1. はじめに
2. 記述文法の萌芽
3. 日本近代文法学小史―個人による総合文法―
4. 伝統文法の克服
5. 実用文法の必要性
6. 記述文法の成熟
7. 孤高の路線
8. 教科文法と日本語教育文法
9. 現代―多様化の時代―
10. 日本語文法学会

参考文献
あとがき
事項索引
人名索引

【執筆者紹介】

村木新次郎(むらきしんじろう)
同志社女子大学教授。主な著書・論文に『日本語動詞の諸相』(ひつじ書房、1991 年)、『文の骨格』(日本語の文法1、共著、岩波書店、2000 年)、「意味の体系」(『朝倉日本語講座第4 巻 語彙・意味』、朝倉書店、2002)、「第三形容詞とその形態論」(『国語論究 第10集 現代日本語の文法研究』、明治書院、2002 年)、Besonderheiten des japanishen Wortshatzes(Lexikologie,Walter de Gruyter, 2005)など。


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