高度経済成長期の文学 石川巧 著
2012年2月
ひつじ研究叢書(文学編) 4
高度経済成長期の文学
石川巧 著
A5判上製 定価6,800円+税
ISBN 978-4-89476-597-9
ひつじ書房
高度経済成長期の祝祭的な高揚感は、戦後日本の問題を〈忘却〉させ、〈記憶〉の再構成を促した。「やさしさ」が価値となり、モラトリアム感覚が蔓延した。本書では、この時代を近代の分節点と規定し、知性・大衆・愛欲・事件・教化という五つの概念を用いつつ、柴田翔、庄司薫、大江健三郎、川上宗薫、松本清張、吉川英治、三島由紀夫などの文学を読み解くとともに、万博、同棲ブーム、吉永小百合の表象といったトピックに迫った。
【目次】
凡例
序論
第一章 知性―学生小説の変容
第一節 モラトリアム文学のはじまり―柴田翔『されど われらが日々―』論
第二節 〈知性〉の変容―庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』論
第三節 子規との対話―大江健三郎「他人の足」論
第二章 大衆―身につまされる文学
第一節 原爆とエロス―川上宗薫の自伝的小説をめぐって
第二節 〈金の卵〉たちへのエール―松本清張『半生の記』を読む
第三節 戯画としての合戦―吉川英治『私本太平記』論
第三章 欲望―愛欲の光景
第一節 妻たちの性愛―川端文学の水脈
第二節 悶々とする日々への復讐―清張ミステリーの女たち
第三節 同棲小説論―アパートのある風景
第四章 事件―終末の記憶
第一節 三島由紀夫の死をめぐる一考察―『川端康成/三島由紀夫 往復書簡』を読む
第二節 万博と文学―〈人類〉が主語になるとき
第三節 吉永小百合という記号―〈夢千代日記〉を読む
第五章 教化―教材化される文学
第一節 〈私〉探しの文学―太宰治の読まれ方
第二節 ヒューマニズムとコスモポリタニズム―教育言説のなかの有島武郎
第三節 詩の反逆―辻征夫論
補助資料
初出一覧
あとがき
索引
【執筆者紹介】
石川巧(いしかわ たくみ)
〈略歴〉
一九六三年、秋田県生まれ。立教大学大学院博士後期課程満期退学。専攻は日本近代文学。山口大学専任講師、助教授、九州大学大学院助教授を経て、現在、立教大学教授。
〈主な著書〉
『「いい文章」ってってなんだ?―入試作文・小論文の思想』(ちくま新書)、『書簡を読む』(共著、春風社)、『川端康成作品論集成 第二巻「浅草紅団」「水晶幻想」』(編著、おうふう)、『「国語」入試の近現代史』(講談社メチエ)、『九州という思想』(共著、花書院)、『高度成長期クロニクル』(共編著、玉川大学出版部)、『展望 現代の詩歌 詩Ⅴ』(共著、明治書院)、など。
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