ひつじ書房 未発選書17 新編 言葉の意志 中村三春著 ひつじ書房 未発選書17 新編 言葉の意志 中村三春著 ひつじ書房
2011年2月

未発選書17

新編 言葉の意志

有島武郎と芸術史的転回

中村三春 著

四六判上製 定価4800円+税 552頁

ISBN 978-4-89476-529-0

ひつじ書房



☆『週刊読書人』2011年6月3日にて、中川成美先生による書評が掲載されました☆


要約

印象派から未来派まで、短時日のうちに芸術史を駆け抜けた孤高の作家・有島武郎の文学と思想の軌跡を、『或る女』『惜みなく愛は奪ふ』『星座』など代表作を網羅して執拗に追究した。近代の総決算でもあり、現代の出発点ともなったその転回の様相を、〈創造的生命力〉〈小説構造論〉〈芸術史的転回〉〈表象のパラドックス〉の4つのキーワードに即して縦横無尽に論じ切った、著者のテクスト文芸学の到達点。旧版を大幅に拡充した増補改訂版。


目次

序 言葉の意志

新編について

I  「色は遂に独立するに至つた」 有島武郎文芸の芸術史的位置
II  「魂に行く傾向」 有島武郎におけるウォルト・ホイットマンの閃光
III   係争する文化 「文化の末路」と有島武郎の後期評論
           *
1  過激な印象画 「かんかん虫」
2  生命力と経済 「お末の死」
3  不透明の罪状 『宣言』
4  永遠回帰の神話 「カインの末裔」
5a 迷宮のミュートス 『迷路』
5b 楕円と迷宮 『迷路』
6  想像力のメタフィクション 「生れ出づる悩み」
7  悪魔の三角形 「石にひしがれた雑草」
8a コケットリーの運命 『或る女』
8b 無限の解釈項 『或る女』
8c 〈考証〉『或る女』はいつ始まるか
9  他者としての愛 「惜みなく愛は奪ふ」
10  こどもに声はあるか 「一房の葡萄」
11  表現という障壁 「運命の訴へ」
12  意識の流れの交響曲 『星座』
13  言葉の三稜針 「或る施療患者」
14  客 「酒狂」「骨」「独断者の会話」
           *
反啓蒙の弁証法 「宣言一つ」および小林多喜二「党生活者」と表象の可能性


あとがき
初出一覧
索引


【旧版(有精堂、1994)より増補のある章】

Ⅰ  「色は遂に独立するに至つた」
Ⅲ  係争する文化
5b  楕円と迷宮
8b  無限の解釈項
8c 〈考証〉『或る女』はいつ始まるか
14  客
補論 反啓蒙の弁証法



【著者紹介】

中村三春(なかむら みはる)
1958年、岩手県に生まれる。東北大学大学院博士課程中退。北海道大学大学院文学研究科教授。日本近代文学・比較文学・表象文化論専攻。著書に、『フィクションの機構』(ひつじ書房、1994年)、『修辞的モダニズム―テクスト様式論の試み―』(ひつじ書房、2006年)、『係争中の主体―漱石・太宰・賢治―』(翰林書房、2006年)など。

中村三春先生のホームページ 「Project M:中村三春ホームページ」 
研究会の情報や、「初学者へのアドヴァイス集」などを公開されていらっしゃいます。


○誤植に関するお詫び

本書にて、以下の誤りがありました。誠に申し訳ありませんでした。

p.314 5行目
誤 『或る女』の冒頭は、七月二十一日を含めて
正 『或る女』の冒頭は、九月二十一日を含めて



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