意志表現を中心とした日本語モダリティの通時的研究 土岐留美江 著
2010年5月
ひつじ研究叢書(言語編)第82巻
意志表現を中心とした日本語モダリティの通時的研究
土岐留美江 著
A5判上製 定価6,200円+税
ISBN 978-4-89476-474-3
ひつじ書房
意志表現を中心とした日本語モダリティの通時的研究 土岐留美江 著 古代語のモダリティ研究は、いわゆる推量系のモダリティを中心に研究が進められてきた。推量と意志とは多くの推量系のモダリティ形式において表裏の関係にあるにも関わらず、かえってそれ故に、意志系のモダリティに光があてられることはほとんどなかったといえよう。本書は意志系のモダリティ形式について、現代語にいたるまでの通時的な変遷の過程を明らかにすることを中心に、その成立の体系的考察をめざした書である。
【目次】
はじめに
序章
1. はじめに
2. 先行研究におけるモダリティ論と意志表現の位置づけ
2. 1 モダリティとは何か
2. 2 意志表現の位置づけ
3. 言語形式と文脈的意味
第1部 助動詞「う」と「だろう」
第1章 江戸時代における助動詞「う」の変遷
1. はじめに
2. 全体の傾向
3. 分析
3. 1 終止法
3. 2 準終止法
3. 3 準連体法
3. 4 連体法
4. おわりに
第2章 江戸語における連語「そうにする」の機能
1. はじめに
2. 現代語の「そうにする」
3. 江戸語の「そうにする」
4. 構成要素の意味と連語全体の意味との関係
5. 江戸語の「そうな(だ)」と現代語の「そうだ」
6. 江戸語の「そうにする」と「うとする」「んとす(る)」
7. 「そうにする」の将然態用法の発生及び衰退の背景
8. おわりに
第3章 江戸語の現代語における「だろう」の比較
―推量から確認要求へ―
1. はじめに
2. 考察対象範囲及び分析資料
3. 集計結果及び考察
3. 1 全体の傾向
3. 2 「う」と「だろう」及び上接語について
3. 3 推量を表す指標
3. 4 終助詞との共起状況
4. おわりに
第4章 後期江戸語を中心とした「だろう」の用法分類
1. はじめに
2. 分析資料
3. 先行研究における分析枠組み
3. 1 田能村(1990a)
3. 2 蓮沼(1993)、(1995)
3. 3 Szatrowski(1994)
4. 江戸語を中心とした「だろう」の用法の再検討
4. 1 本章での分析枠組み
4. 2 江戸語および現代語の用例の分析
5. おわりに
第2部 形式名詞を用いた意志表現
第1章 江戸時代における名詞「つもり」の変遷
―モダリティ表現としての文末表現形式化と形式名詞化の過程―
1. はじめに―意志表現の中での「つもり」の占める位置―
2. 研究方法及び分析資料
3. 考察
3. 1 第一期(17世紀末から18世紀初頭、元禄の上方の浮世草子類、及び浄瑠璃類)
3. 2 第二期(18世紀半ばから19世紀、文化文政期以前の江戸の黄表紙類、及び洒落本塁)
3. 3 第三期(19世紀初頭から19世紀半ば、文化文政期から天保期にかけての江戸の滑稽本類、及び人情本類)
3. 3 第四期(19世紀後半から20世紀初頭、明治以降の落語口演速記及び小説類)
3. 3 元禄期(西鶴、近松)と明治期(鷗外、漱石)の比較 4. おわりに
第2章 意思表現に用いられる「つもり」意外の名詞の分布と変遷
1. はじめに
2. 先行研究
3. 研究方法及び分析資料
4. 分析
4. 1 江戸語・東京語の意思表現に用いられる名詞・形式名詞
4. 2 「気」と「心」
4. 3 その他の名詞
5. おわりに
第3部 動詞基本形を用いた意志表現
第1章 テンスとモダリティとの関係
―現代韻文資料における動詞基本形のテンス―
1. はじめに
2. 問題の所在―意志モダリティと未来時との関係
3. 動詞基本形使用の諸条件
4. 分析資料及び集計結果
5. テンスの基準としての発話時
6. 現代和歌における動詞基本形
6. 1 未来形用法
6. 2 現在形、事実系用法
6. 3 和歌のまとめ
7. 現代史における動詞基本形
7. 1 未来形用法
7. 2 現在形、事実系用法
7. 3 詩のまとめ
8. 談話スタイルと文章スタイル
9. おわりに
第2章 古代語と現代語の動詞基本形終止文
―古代語資料による「会話文」分析の問題点―
1. はじめに―日本語の文末表現体系と動詞基本形―
2. 動詞基本形の現場(文脈)的意味についての先行研究
2.1. 現代語―尾上(1995、2000)
2.2. 古代語―小島(1995)、大木(1997)
3. 分類の視点―動詞基本形とテンス・アスペクト
4. 考察対象範囲
4.4. 動詞基本形の定義
4.2. 分析資料
5. 古代語・現代語の基本形意味用法の比較分析
5.1. A.恒常用法
5.2. B.未来用法
5.3. C.現在用法
5.4. D.過去用法
5.5. E.評価・解説用法
6. おわりに
6.1. 分析結果と解釈
6.2. もう1つの解釈の可能性
―古代語の「会話文」の中の「地の文」性
第3章 平安和文会話文における連対終止文
1. はじめに―問題の所在
2. 先行研究
2.1. 記述的考察
2.2. 原理的考察
3. 本章の分析対象範囲
4. 助動詞を伴わない形容詞述語文
6. 助動詞不加文
7. まとめ―連体形終止の表現性の本質と原理―
8. おわりに
付章 日本語と中国語の意志表現
1. はじめに
2. 研究方法
3. 分析
3.1. 一次的モダリティと二次的モダリティ
3.2. 調査結果と考察
4. まとめと今後の課題
おわりに
1. まとめ
2. 意思表現とモダリティ
3. 言語体系の通時的考察
引用文献・参考文献一覧
語句索引
人名・書名索引
【執筆者紹介】
土岐 留美江(とき るみえ) 愛知教育大学 教育学部 准教授
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