ひつじ書房 シリーズ言語学と言語教育 39 日本語教育におけるメタ言語表現の研究 李婷著 ひつじ書房 シリーズ言語学と言語教育 39 日本語教育におけるメタ言語表現の研究 李婷著
2020年1月刊行

シリーズ言語学と言語教育 39

日本語教育におけるメタ言語表現の研究

李婷著

装丁者 吉岡透(ae)/明田結希(okaka design)

定価7200円+税 A5判上製カバー装 368頁

ISBN 978-4-8234-1021-5

The Study on Metalingual Phrases of Japanese Language Education

LI Ting

ひつじ書房



メタ言語表現の学習とコミュニケーションのメタ認知の向上を結びつける日本語教育を提案。日本語学習者の視点を基に、メタ言語表現の学習の意義を捉え直した上で、豊富な談話資料より収集したメタ言語表現を分析する。初級日本語クラスでの学び、インタビューで得られた学習者の語り、待遇コミュニケーション論と文章・談話論に基づいた分析、いずれも日本語教師や日本語教育研究者に有益である。



目次

前書き
 

第1章 日本語学習者がメタ言語表現を学習することの意義
1.1 日本語教育でメタ言語表現を取り入れる際に考えるべきこと
1.2 本書の目的と課題 メタ言語表現の学習の意義と日本語教育における位置づけを捉え直す
1.3 メタ言語表現とコミュニケーションのメタ認知との関係
1.4 メタ言語表現の学習を捉え直すにあたって
 
第2章 メタ言語表現とコミュニケーションのメタ認知との関係に着目した本書の位置づけ
2.1 様々に定義されてきたメタ言語表現
2.2 メタ言語表現に関する先行研究
2.3 コミュニケーションのメタ認知に関する先行研究
2.4 待遇コミュニケーション論による分析観点
2.5 文章・談話論による分析観点
2.6 日本語教育学における本書の位置づけ

第3章 メタ言語表現の学習の意義を検討するための調査とメタ言語表現の分析方法
3.1 [課題1]メタ言語表現の学習の意義を検討するための調査
3.2 [課題2]メタ言語表現の分析方法
 
第4章 初級日本語クラスにおけるメタ言語表現の学習
4.1 観察されたメタ言語表現
4.2 メタ言語表現を取り入れた教室活動
4.3 教師の導入と指導
4.4 学習者の学習と使用
4.5 教師と学習者の相互作用
4.6 初級日本語クラスで観察されたメタ言語表現の指導と学習のまとめ
 
第5章 学習者がメタ言語表現を捉える観点
5.1 待遇コミュニケーション論に関する学習者の観点
5.2 文章・談話論に関する学習者の観点
5.3 待遇コミュニケーション論と文章談話論に関する学習者観点の関係づけ
5.4 メタ言語表現を学習することの意義
 
第6章 「人間関係」、「場」、「意識」、「内容」、「形式」に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現
6.1 「人間関係」に言及するメタ言語表現
6.2 「場」に言及するメタ言語表現
6.3 「意識」に言及するメタ言語表現
6.4 「内容」に言及するメタ言語表現
6.5 「形式」に言及するメタ言語表現
6.6 「人間関係」、「場」、「意識」、「内容」、「形式」の組み合わせに言及するメタ言語表現
6.7 「人間関係」、「場」、「意識」、「内容」、「形式」に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現のまとめ
 
第7章 「表現意図」に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現
7.1 「宣言」の表現行為におけるメタ言語表現
7.2 「確認」の表現行為におけるメタ言語表現
7.3 「許可求め」の表現行為におけるメタ言語表現
7.4 「申し出」の表現行為におけるメタ言語表現
7.5 「忠告・助言」の表現行為におけるメタ言語表現
7.6 「勧め」の表現行為におけるメタ言語表現
7.7 「依頼」の表現行為におけるメタ言語表現
7.8 「許可与え」の表現行為におけるメタ言語表現
7.9 「指示・命令」の表現行為におけるメタ言語表現
7.10 「誘い」の表現行為におけるメタ言語表現
7.11 「表現意図」に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現のまとめ

第8章 談話の展開に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現
8.1 「A.話題開始機能」のメタ言語表現
8.2 「B.話題継続機能」のメタ言語表現
8.3 「C.話題終了機能」のメタ言語表現
8.4 談話の展開に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現のまとめ

第9章 談話の多重構造に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現
9.1 「話段区分箇所」と「話段内部箇所」におけるメタ言語表現の出現率
9.2 第1・2次元の「大話段区分箇所」におけるメタ言語表現
9.3 第3・4次元の「話段区分箇所」におけるメタ言語表現
9.4 第5次元の「小話段区分箇所」におけるメタ言語表現
9.5 全「話段区分箇所」におけるメタ言語表現の特徴
9.6 談話の多重構造に関するメタ認知の向上を促すメタ言語表現

第10章 日本語教育への提言と今後の課題
10.1 各章で述べてきたことのまとめ
10.2 コミュニケーションのメタ認知の向上を目指す日本語教育
10.3 コミュニケーションのメタ認知の向上を促す学習項目としてのメタ言語表現
10.4 日本語教育学における本書の意義と今後の課題


参考文献
謝辞
索引



著者紹介
李婷(り てい)
1980年中国青海省生まれ。2009年文部科学省国費奨学金で来日し、2011年早稲田大学日本語教育研究科博士後期課程に入学。2016年から2年間同研究科助手を務め、聖学院大学で非常勤講師として留学生に日本語を教える。2018年に博士号(日本語教育学)を取得し、日本大学文理学部助教に就任。主要論文として、「メタ言語表現の「文脈展開機能」」(2013年、『早稲田日本語研究』22)、「メタ言語表現に関する語りから見た日本語学習者の待遇意識」(2018年、『待遇コミュニケーション研究』15)などがある。



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