ひつじ書房 英語中間構文の研究 吉村公宏著 ひつじ書房 英語中間構文の研究 吉村公宏著
2020年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第167巻

英語中間構文の研究

吉村公宏著

定価7200円+税 A5判上製 336頁

白井敬尚形成事務所(ブックデザイン)

ISBN 978-4-8234-1013-0

ひつじ書房

A Study of the English Middle Construction
Yoshimura Kimihiro


【内容】
理論を問わず、英語中間構文は人気のあるテーマである。しかしながら、看過されてきた問いは、能動と受動の中間がなぜ「属性」を表現するのか、そのときの属性とはそもそも何か、という根源的な問いである。本書は伝統文法、生成文法、認知文法の研究成果を総括し、上記の問いに認知意味論的視点から切り込む。多数の実例データを駆使しつつ、新しい説明原理によってその本質に迫る。認知意味論・語彙・構文・語法の研究者には必見の一冊である。



【目次】


序章 本書のねらい―導入と構成

第1章 記述的特徴

1. はじめに
2. 構文スキーマと意味
2.1 一項動詞としての中間構文
2.2 付加詞
2.3 属性描写
3. 態(voice)
4. 内部構造
4.1 主語
4.2 動作主(agent)
4.3 隠在的動作主と述語動詞
4.3.1 隠在的動作主(implicit agent)
4.3.2 述語動詞の概念的分類
4.4 付加詞(副詞修飾句)および相当表現
5. 単純現在時制と総称性
5.1 総称性と法助動詞
5.2 規範性
5.3 現象的属性と構造的属性
6. レジスター・文体・談話

第2章 研究史と問題点

1. 総論
2. 発生起源
2.1 いくつかの仮説
2.2 Visser(1984)、福村(1965)
2.3 Denison(1993)
3. 伝統文法
3.1 由来と名称
3.2 個別研究
4. 生成文法
4.1 Keyser and Roeper (1984)
4.2 Fagan (1988, 1992)
4.3 Condoravdi (1989)
5. 語彙概念構造
6. 認知文法
6.1 基本的構想
6.2 Lakoff (1977)
6.3 van Oosten (1986)
6.4 Fellbaum (1985, 1986)
6.5 Langacker (1990, 1991)
6.6 Legenhausen (1998)
6.7 Yoshimura and Taylor (2004b)
6.8 谷口(2005)
6.9 Hundt (2007)
6.10 García (2010, 2013)
6.11 本多(2014)
7. 総括
7.1 問題点の整理と解決
7.2 未解決の問題点

第3章 構文と動詞

1. 動詞の分類と非能格・非対格動詞
2. 動詞と構文から見た中間構文の位置づけ
3. 中間構文に現れる動詞の分布―交替現象から
3.1 他動性の交替と動詞クラス
3.2 脱他動詞化(detransitivization)
4. 寄生的カテゴリーとしての中間表現
5. 新奇動詞
6. コンテキストとフレーム情報

第4章 属性とは何か

1. 属性解釈の文明的基盤
1.1 「属性」と術語
1.2 属性の一般的考察
1.2.1 存在原因と属性
1.2.2 属性叙述に関わる認知形式
1.2.3 事物をアフォードする行為可能性
2. 因果メタファー
2.1 因果メタファー(1):自然的属性
2.2 因果メタファー(2):人工物属性
2.3 クオリア役割と照合
3. 能動論理と中間論理
4. 属性の二極
4.1 内在型属性
4.2 創発型属性
4.3 不活性型
5. 属性認知の連続モデル
6. 寄生的拡張としての中間構文
7. 場所副詞と属性読み
8. 属性と総称性

第5章 主体化と認識モード

1. グラウンディング(Grounding)
2. 主体化(Subjectification)
3. 中間構文の「主体性(Subjectivity)」
3.1 仮想世界
3.2 仮想世界における主体化
3.3 主体化における動作主
3.4 2つの主体化
3.5 中野(2017, 2018)
4. 主体化を裏づける文法的特徴
4.1 様態副詞と主体化
4.2 人工物と主体化
4.3 現在時制と主体化
5. 結び

終章   物心一如

1. 3つの論点
1.1 動詞と構文
1.2 属性の認知的基盤
1.3 主体化の様相
2. 「序章」への答え
3. 新たな認識モードの可能性
3.1 主客合一という認識モード
3.2 時枝(1941, 1955)
3.3 池上(2009)
3.4 國分(2017)
4. 主客のダイナミズム
5. 「主体」と物心一如

参考文献
APPENDIX
索引

   


【著者紹介】
吉村公宏(よしむら きみひろ)
略歴
1954年大阪府生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。博士(文学)。Ph.D. (Linguistics)。神戸学院大学教授、奈良教育大学教授を経て、現在、龍谷大学文学部教授。専門は英語学、認知言語学。

 主な著書・論文
『認知意味論の方法』(人文書院、1995)、『はじめての認知言語学』(研究社、2004)、『英語世界の表現スタイル-「捉え方」の視点から』(青灯社、2011)、”What makes a good middle? The role of qualia in the interpretation and acceptability of middle expressions in English” (English Language and Linguistics Vol.8, No.2. 2004 (John Taylor と共著))など。




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