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 1998年7月12日 T-Timeの発売は16日か17日

ひつじ書房でT-Timeを発売するわけだが、書店さんには16日か17日になるであろう。このソフトの説明は、ボイジャーのページにゆずるが、先日、富田倫生さんと話しをしていて面白い話しがでた。富田さんは、いまT-Timeの解説+提案本を書いていただいているのだが、ここでもデジタルテキストの問題が重要な位置を占めるようになるようだ。これは、以前に刊行した『ネチケット』ともかかわることなのである。ネチケットがどうして問われるようになったのか、富田さんは、「今まで、パーティでは政治の話しやスポーツの自分の好きな球団の話しはしないようにしてきた。それが、個人のありように関わりすぎて、歯止めがなく、行きすぎてしまう危険を避けるためだった。だけれども、デジタルの世界ではそれをやってもいいことにしようとしたのではないか、だからネチケットのようなものが必要になってきたのではないか」とおっしゃるのである。今まで議論に登らせないようにしてきた内容までを議論できるようにしたのが、デジタルテキストなのだということだろう。ただ、危険も伴うというわけだ。これは人と人とのコミュニケーションのあり方自体を変えることであり、その中にT-Timeのような本当に読み手の側にたった新しいソフトウェアが登場する意味があるのではないか・・・。そんな感じです。富田さん、新しいことを考えるのには時間がかかるのは、分かりますが、遅くとも今月中には、原稿よろしくお願いします。

選挙の日であったが、昨日と今日と事務所にでるはめになってしまった。T-Time以外のことが、全く出来ないので出ているのである。帰りに秋葉原の書泉ブックポートに行って話しをして、そのあと甘栗太郎(本店)で栗を買って帰ろう。日曜でもやっているかな、ちと心配。


 1998年7月15日 T-Timeを王子に納入

ひつじ書房で発売するT-Timeだが、最後の最後まで取次店と取り扱いについてすったもんだがあった。トーハンと日販は、書籍として認めないと言うのである。書籍として認めないというのは、どういうことかというと、外見の問題だけではない。現状では再販商品として認めないということである。値段に定価という文字が入っていてはいけない、ということなのだ。しかも、卸値は通常よりもさらに低い。清算の条件も悪い。最後の最後まで書籍として入れてほしいと言うことで粘ったのであるが、今回は条件を一応認めることにした。

しかしながら、口座が別になるために、委託しても全額精算されるかどうか、一応担当者が信頼してくれというし、信頼もして口座を開設したわけだが、不安が残る。日販の場合は、頼りない状況なので委託数を120にせざるをえなかった。それでも、定価という表示は都合が悪いというので、シールをこつこつはることになった。これは、ひつじ側で貼るので、15日納入であったが、14日の夜に貼り、自宅まで120冊+300冊を積んで帰り、5時半に自宅を出て、王子(日販)、江戸川橋(トーハン)とそれぞれに納入した。

 1998年8月10日 ひつじメーリングリストを準備中

絵日記にも書いたが、ひつじ書房で刊行物の案内などを配信するメーリングリストを開設すべく、準備中である。このメーリングリストの主旨は、重版のアンケートを取りたいということである。絵日記と重複するが、研究書の場合、想定する読者の数が少ないから、重版しようとすると部数の決定が非常に難しいのである。100部重版ならば、定価は安くならない。100部作って半分残ったら、赤字であり、重版しない方が良かったということになりかねない。必要とする読者がいるのであれば、重版したいのはやまやまなのだが。そこで、メーリングリストが、訳に立つわけだ。必要な方、手をあげて下さい、と言えるからである。また、往復はがきで出すとなるとそのコストもバカにならない額になる。100円で2000人だとすると、20万円である。

ただ、主体的に登録されていない方にも今回、登録のお願いのメールを送っている。これは、一般的にはDMメールと捉える人がいて、お怒りになる方がたくさんいる可能性があった。しかし、おかげさまで、怒ってメールをくれる方はいなかった。これはありがたいことであり、深く感謝している。おことわりになる方も、言語学が主なフィールドでないという理由ばかりであった。しかし、僭越ながらちょっと理解できなかったのは、数人の現役の研究者の方もいたことである。重版のアンケートの必要性を理解して下さらなかったのだろうか。また、急遽、刊行することになった書籍のお知らせとか、目録の発行まで待ったり、有料の広告を使わなくても可能になることのひつじにとってのメリットも大きい。これは、ひつじの経営も助けてくれることになるだが。登録されていない方は、ぜひともご登録をお願いしたい。

なお、登録者には何らかの特典を付けることになるだろう。これについては、登録者にだけお伝えする。

 1998年8月11日 新卒者向けの私のことばが好評

なぜか、6月に書いた新卒者向けの私のことばが、実際に出版界で生きている人に好評なのである。これは、意外であると同時にうれしくもあり、出版界がなかなか厳しいことの裏付けでもあるように思う。好意的な意見もなかなか微妙なもので、就職する前に読んでいたら、出版社に就職しなかっただろうというものもあり、複雑な気持ちである。

かといって、現状で、あまり格好の良いことばかりは言えない。基本的には斜陽産業であり、将来の見通しは暗いのである。ただ、私の真意は、暗いと思って覚悟をしてくれば、それなりにしのげるということなのだ。そのためには、本が好きだではなくて、本を作るのが、本を売るのが好きだでないとダメだということだ。作ったものが、買われ、読まれていく、そこまで気にかけなければ、スタートラインに立っているともいえない。分からず屋の先輩にちょっときついことを言われたぐらいで口をとんがらせているようなことでは可能性はゼロなのだ。したたかな愛嬌が必要と言った理由はここにある。愛嬌ですね、愛嬌。

 1998年8月26日 手伝ってくれる人を募集します

1年と数カ月勤めてくれた岡本さんが、書評を手伝ってくれている旦那とともに急に辞められた。もともと旦那の方が、この日誌を見て、メールをくれ、日誌に助っ人の募集とともにご本人は別の出版社に勤められていたということで、連れ合いを「派遣」してきたのが、発端であった。書評ページの充実は、この夫ぎみのおかげであった。

ともあれ、重要な戦力の喪失を補うために、改めて手伝ってくれる人を求めます。前回も書いたが、

薄給(時給800円)、交通費全額支給、週に1日以上働ける方。仕事の内容は、 マックを使った編集と発送。PagemakerなどのDTPソフトについて教えます。

条件的には、ほぼ同じです。詳しくいうと、肉体労働あり、本を作るということに携わるのは、神経を使いますが、やりがいもあります。手伝いと言っていますが、仕事の中では、それなりの責任が伴うこともあります。大げさですが、「本を作るときの決意」についてメールで、400字程度のものを送って下さい。新しい出版文化を作ることに興味があって、労を惜しまない方を切に希望します。

房主



日誌 98年6月

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