修辞的モダニズム−テクスト様式論の試み 中村三春著 ひつじ書房
2006年6月
修辞的モダニズム
−テクスト様式論の試み
中村三春
著
2800円+消費税
ISBN4-89476-272-2
ひつじ書房
読書人2006.7.28に書評が掲載されました!
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要約
比喩・擬人法・寓意などのレトリックや、断片性・モンタージュなどのテクスト形態は、現代文芸の研究において、ないがしろにされてきた領域である。だが、これらは作家が工夫を凝らし、読者に強い印象を与える要素にほかならない。宮沢賢治と横光利一の文芸様式と、モダニズムのスポーツ小説・内的独白・百貨店小説をテーマとして、テクスト様式論の試みを行うことが本書の志向するところである。
修辞的モダニズム −テクスト様式論の試み 目次
はしがきに代えて−テクストの様式論とレトリック分析−
1 比喩表現とモンタージュ−『上海』−
2 根元的虚構とテクストの様式論
3 レトリック分析の方法論
第一部《統合》のレトリックを読む−修辞学的様式論の試み−
第一編 宮澤賢治と《統合》のレトリック−その透明と障害−
はじめに
I 〈もの〉のシネクドキー−「岩手山」「ぬすびと」−
1 提喩の意味論
2 『春と修羅』の提喩表現
3 〈統合〉のメタポラ
II 死とともにある生−「一六六 薤露青」−
1 消しゴムで消された詩
2 ダブル・ミーニング
3 存在の大連鎖
III 人体と工場−「二 空明と傷痍」−
1 隠喩の読解
2 美学型、独白型
3 ピアノとヴァイオル
IV 幻想と他者−「小岩井農場」−
1 「心象スケッチ」と幻想
2 他者の映像
3 せめぎ合いの刻印
V ノンセンスの逆説−「注文の多い料理店」「どんぐりと山猫」−
1 パラレル・ワールド
2 パラドックス
3 幻想とコミュニケーション
VI 争異するディスクール−『銀河鉄道の夜』−
1 直喩の修辞学
2 世界の組成−直喩的発想−
3 障害としての共存
第二編 様式としての再魔術化−横光利一の換喩的世界−
I ポストモダンの生態学−「蠅」「頭ならびに腹」「ナポレオンと田虫」−
はじめに
1 象徴、寓意、モンタージュ
2 換喩的な世界観
3 様式とサイバネティックス
II 関係性という愉楽−「セレナード」「機械」−
はじめに
1 痴話喧嘩の関係論
2 真相不明の探偵小説
3 純粋読書の作法
III テクストとしての恋愛−『寝園』−
はじめに
1 循環的な関係性
2 空虚としての中心
3 脱−姦通小説ジャンル
IV 純粋小説のアナトミー−『花花』−
はじめに
1 記号の不透明性
2 補語的統合
3 反自作評「書翰」の文芸理論
V 最後の純粋小説−『鶏園』のフェミニズム−
はじめに
1 純粋小説としての『鶏園』
2 フェミニズム
3 横光的スタイルのT未来U
VI 係争する身体−『旅愁』の表象とイデー−
1 表象とイデーとの離反
2 旅行空間と係争
3 断片から全体へ
4 液状化する身体
5 〈身体=表象〉の可能性
第二部 都市と身体のモンタージュを読む
I モダニズム文芸とスポーツ
−阿部知二「日独対抗競技」の文化史的コンテクスト−
序 スポーツ小説のために
1 「日独対抗競技」のレパートリー
[1]スポーツ小説のヴィジョン
[2]スポーツとモンタージュ
[3]肉体美のコード
2 スポーツ理論のポリティーク
[1]スポーツと政治
[2]スポーツと大衆社会
3 モダン・スポーツ文芸史の構想
[1]スポーツ詩とプロレタリア・スポーツ
[2]スポーツ小説と恋愛のメタファー
[3]典型としてのスタンド・フラッパ
II 川端康成「水晶幻想」のポリセクシュアリティ
はじめに
1 内的独白、鏡、生のサイクル
2 犬、ピペット、人工妊娠
3 セクシュアリティの生成変化
4 「復讐」について
III 百貨店小説のモダニティ−伊藤整「M百貨店」論−
序 百貨店小説のために
1 T「M百貨店」連作Uの構想
2 テクストと百貨店
3 百貨店空間の社会史
4 百貨店的ディスクール
5 百貨店小説というジャンル
注
初出一覧
あとがき
索引
『修辞的モダニズム ―テクスト様式論の試み』の注の一部に脱落がみつかりました。
お詫びをいたしますとともに、訂正をいたします。
*06年5月27日〜6月24日出荷分のみ。現在は修正したものを出荷しております。
p.307〜の「はしがきに代えて」の注のうち、下記のものが脱落しています(本文中の注番号は訂正なし)。
(14)ロマーン・ヤーコブソン「言語学と詩学」(川本茂雄監修、『一般言語学』、みすず書房、一九七三・三)。
(15)グレゴリー・ベイトソン「遊びと空想の理論」『精神の生態学』上(佐伯泰樹・佐藤良明・高橋和久訳、一九八二・一一、思索社)。
(17)ミハイル・バフチン「叙事詩と長篇小説」
(『叙事詩と小説』、川端香男里訳、『ミハイル・バフチン著作集』7、一九八二・二、新時代社)参照。
(18)竹内敏雄「芸術の様式」(『美学総論』、一九七九・五、弘文堂)、716ページ。
(25)修辞批評(rhetorical criticism)という名称が一般に行われているが、特定の学派(イェール学派など)を指す場合があるので、
ここではこの名称を避け、レトリック分析と呼ぶ。
(34)ロマーン・ヤーコブソン「言語の二つの面と失語症の二つのタイプ」(前掲『一般言語学』)。
よって、注(14)以降の注番号にずれが生じます。
該当箇所の修正済みページはこちら(PDF)。
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